ウクライナ力士の現在|獅司と新星・安青錦の激闘譜と母国への祈り
大相撲の土俵にいま、東欧ウクライナから海を渡ってきた力士たちが強烈な新風を吹き込んでいます。ウクライナ出身として史上初の関取昇進を果たした獅司大(しし・まさる)と、入門以来驚異的な快進撃で番付を駆け上がる期待の新星・安青錦新大(あおにしき・あらた)。激動の母国情勢と家族への思いを胸に秘め、異国の伝統競技に人生を懸ける2人の姿は、相撲ファンの枠を超えて多くの人々に深い感動を与えています。
大相撲の歴史において、ヨーロッパ出身力士はこれまでも数々の旋風を巻き起こしてきましたが、厳しい戦禍を背景に土俵へ上がる彼らの歩みには特別なドラマが存在します。本稿では、2026年現在の両力士の最新動向や戦績、所属部屋での過酷な修行の日々、そして知られざる素顔と母国への誓いまで、現地取材の息吹とともに徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:ウクライナ出身初の関取となった獅司(雷部屋)と、驚異のスピード出世で土俵を沸かせる安青錦(安治川部屋)の2名が大相撲の第一線で躍進中。
- 要点2:戦禍の母国に残る家族への送金と祈りを力に変え、日本の伝統文化を真摯に学びながら白星を積み重ねる強固な精神性。
- 要点3:東欧レスリング仕込みの屈強な体幹と、親方の熱心な技術指導が融合し、大相撲の外国人出身力士史に新たな黄金期を刻んでいる。
【大相撲最新動向】ウクライナ出身力士の一覧と土俵を席巻する現在地

大相撲の最新ニュースでも連日のように取組がクローズアップされるウクライナ出身力士。現在、日本相撲協会に所属して本場所の土俵を務めるウクライナ力士一覧は以下の2名です。
相撲界には「1部屋につき外国出身力士は1人まで」という厳格な規程が存在します。そのため、獅司は雷部屋、安青錦は安治川部屋という別々の名門・新進気鋭の部屋に所属し、それぞれの師匠のもとで技と心を磨き上げています。
ウクライナ力士の現在の活躍は目覚ましく、獅司が幕内・十両の上位で巨体を活かしたダイナミックな相撲を見せる一方、安青錦は卓越したスピードと多彩な技で幕下上位から関取の座を射止め、上位陣を脅かす存在へと急成長を遂げました。境遇も相撲スタイルも異なる2人ですが、互いを刺激し合いながら大相撲の勢力図を大きく塗り替えています。
【パイオニアの挑戦】雷部屋の獅司大|怪力と愛嬌で切り拓いた関取への道

ウクライナ出身力士の先駆者として道を切り拓いたのが、雷部屋に所属する獅司大(本名:セルギイ・ソコロフスキー)です。ウクライナ南東部のザポリージャ州メリトポリ出身の彼は、身長193cm、体重175kgを超える筋骨隆々の巨体を誇ります。
幼少期からレスリングやサンボに親しみ、世界ジュニア相撲選手権でメダルを獲得するなど早くから頭角を現していたセルギイ青年に転機が訪れたのは2020年のこと。単身来日して入間川部屋(現・雷部屋)に入門し、言葉も通じない厳しい環境の中で前相撲から過酷な修行をスタートさせました。
獅司の成績と番付の推移を振り返ると、その成長は着実そのものです。怪力任せの大味な相撲から、師匠である雷親方(元小結・垣添)の熱血指導によって「立ち合いの低さと強烈なおっつけ」を習得。2023年名古屋場所でウクライナ出身力士として史上初の新十両へ昇進を果たすと、その後も着実に勝ち越しを重ねて幕内の土俵へと駆け上がりました。
土俵上での迫力満点な相撲とは対照的に、普段の獅司は非常に人懐っこく、日本語の上達も驚くほど早いことで知られます。白米や焼肉が大好物で、部屋の力士たちとも冗談を交わし合う愛されキャラクター。その人柄の良さもまた、全国の相撲ファンを惹きつける大きな魅力となっています。
【驚異のスピード出世】安治川部屋の安青錦新大|避難から始まった新星の快進撃

獅司の背中を猛烈な勢いで追いかけているのが、安治川部屋のホープ安青錦新大(本名:ダニーロ・ヤフブコ)です。ウクライナ中西部のヴィーンヌィツャ出身である彼は、まさに激動の運命を乗り越えて日本の角界へと辿り着きました。
2022年に母国で軍事侵攻が勃発した際、ダニーロ青年は家族を守りながら避難生活を余儀なくされました。しかし、ウクライナ国内で培ったレスリングと相撲の才能を惜しむ周囲の支援を受け、戦火を逃れる形で日本へ避難。知人の紹介を通じて、元関脇・安美錦が率いる安治川部屋への入門が決まりました。
安青錦の経歴と部屋での鍛錬は、瞬く間に相撲界の注目の的となりました。師匠ゆずりの緻密な技能派相撲を徹底的に叩き込まれ、2023年秋の初土俵以降、序ノ口・序二段・三段目で立て続けに圧倒的な成績を残して各段優勝を達成。均整の取れた筋肉質の体躯から繰り出される電光石火の立ち合い、強烈な前褌を取っての出し投げや寄り倒しは、歴代屈指のスピード出世を支える強力な武器となっています。
「土俵の上では迷いを捨て、師匠の教え通りに前に出るだけ」と語る安青錦。避難民という困難な境遇に甘えることなく、泥まみれになって稽古に打ち込む姿は、多くの相撲関係者に強い衝撃と感銘を与えています。
【母国への誓いと家族の絆】戦火を越えて土俵に立ち続ける彼らの覚悟
話題のウクライナ力士たちが土俵で見せる凄まじい気迫の根底には、遠く離れた故郷と家族への切実な思いがあります。大相撲の激しい本場所の最中であっても、彼らの心から母国の情勢が消えることはありません。
ウクライナ力士の家族の多くは、現在も厳しい情勢下の現地に残っているか、近隣国への避難生活を余儀なくされています。獅司の故郷であるメリトポリは占領下に置かれるなど過酷な環境にあり、家族との連絡すら通信障害で途絶えることがありました。本場所前には必ず家族の無事を確かめるメッセージを送り、勝利を報告することが彼らの日課となっています。
「自分が土俵で勝ち名乗りを受ける姿を見せることが、家族や母国の人々に勇気を届ける唯一の方法」——。両力士ともに、得た懸賞金や給金の一部を母国の家族や支援活動へ送り続けています。異国の地で孤独に押し潰されそうな夜も、家族の声と祖国への祈りが彼らの立ち上がる原動力となってきました。彼らが土俵で見せる執念の一番は、単なる勝敗を超えた魂の叫びそのものといえます。
【大相撲と外国人出身力士】東欧勢の系譜を受け継ぐウクライナ勢の技術的特徴
大相撲における外国人出身力士の歴史を紐解くと、ハワイ勢(高見山、小錦、曙、武蔵丸)に始まり、モンゴル勢の黄金期、そして2000年代以降は東欧出身力士が強烈な足跡を残してきました。ブルガリア出身の元大関・琴欧洲、エストニア出身の元大関・把瑠都、ジョージア出身の元大関・栃ノ心など、怪力と長いリーチを活かした取り口は日本中を沸かせました。
この東欧旋風の最新章として位置づけられるのがウクライナ勢です。彼らの相撲には、従来の欧州勢とはまた異なる独自のハイブリッドな強みが見られます。
第一に、「グレコローマンレスリング仕込みの強靭な背筋と体幹」です。獅司が見せる強引な巻き替えや上手からの怪力相撲は、上半身の圧倒的なホールド力に支えられています。第二に、「日本式相撲技術への驚異的な順応性」です。安青錦に見られるように、欧州出身力士にありがちだった「立ち合いの高さ」を克服し、低く踏み込んで下から攻め立てる近代相撲の神髄を完璧に体現しています。
親方の指導を素直に吸収し、礼儀作法を重んじる謙虚な姿勢が、彼らを単なる「腕自慢の外国人」から「本物の大相撲力士」へと昇華させています。
【ウクライナ 力士】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大相撲に所属するウクライナ出身の力士は何人いますか?
A1:2026年現在、大相撲で活躍するウクライナ出身力士は獅司大(雷部屋)と安青錦新大(安治川部屋)の2名です。両名ともに関取の座を掴み、土俵の最前線でしのぎを削っています。
Q2:獅司と安青錦の本名や入門のきっかけは何ですか?
A2:獅司の本名はセルギイ・ソコロフスキーで、世界ジュニア相撲での活躍を機に2020年に入門しました。安青錦の本名はダニーロ・ヤフブコで、2022年の母国情勢悪化に伴い日本へ避難した後、レスリングの実績と相撲への情熱を買われて安治川部屋へ入門しました。
Q3:外国出身力士の人数制限がある中で、なぜ2人は別々の部屋にいるのですか?
A3:日本相撲協会の規定により「外国出身力士は1部屋につき1人まで」と定められているためです。獅司は雷部屋、安青錦は安治川部屋と異なる部屋に所属し、それぞれの師匠から熱心な指導を受けています。
まとめ:2026年大相撲を熱くするウクライナ力士のさらなる飛躍
遠く離れた母国の平和を祈り、家族への感謝を胸に土俵へ上がり続けるウクライナ出身の力士たち。獅司の豪快な相撲と愛すべき人柄、そして安青錦の研ぎ澄まされた技術と不屈の闘志は、大相撲の舞台に新たな活力と国際的な感動をもたらしています。
厳しい稽古に耐え抜き、伝統文化への敬意を払う彼らの姿は、もはや単なる「話題の外国人選手」の域を遥かに超えています。大相撲の歴史に新たな金字塔を打ち立てるべく突き進むウクライナ力士の勇姿から、今後も目が離せません。 (出典: ウクライナ 力士(Yahoo!ニュース))