「和を以て貴しとなす」読み方は?聖徳太子の真意と続きを徹底解説

目次
「和を以て貴しとなす」読み方は?聖徳太子の真意と続きを徹底解説
「和を以て貴しとなす」読み方は?聖徳太子の真意と続きを徹底解説
@ creator • Click to Play Video Inline
🎵 「和を以て貴しとなす」読み方は?聖徳太子の真意と続きを徹底解説

日本史の授業やビジネスの訓話で誰もが一度は耳にする名句「和を以て貴しとなす」。西暦604年に聖徳太子(厩戸皇子)が制定した「十七条憲法」の第一条に掲げられたこの言葉は、1400年以上の時を経た現在も組織論やリーダーシップの指針として引き合いに出されます。しかし、実際に口頭で発音しようとした際、「とうとし」と「たっとし」のどちらで読むべきか迷った経験を持つ人は少なくありません。

さらに、この言葉を単なる「波風を立てずに仲良くすること」や「周囲に合わせる事なかれ主義」だと解釈しているなら、それは大きな誤解です。言葉の続きや憲法の文脈を紐解くと、そこには感情的な対立を乗り越えて徹底的に議論を尽くす、極めて本質的な合意形成の思想が込められていました。今回は、正確な読み方のルーツから『論語』との関係、そして現代に通じる教訓まで余すところなく解説します。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:読み方は「とうとし」「たっとし」の双方が正解であり、現代の学校教育や日常会話では「とうとし」が広く定着している。
  • 要点2:続きの「忤(さから)ふこと無きを宗とせよ」を含めた真意は、盲目的な同調ではなく「本音で議論を尽くして調和を図る」ことにある。
  • 要点3:中国の古典『論語』にルーツを持ち、組織の分断を防いで建設的な対話を生み出す知恵として現代のビジネス現場でも役立つ。

【読み方の真相】「とうとし」「たっとし」はどっちが正しい?音韻変化と使い分けの基準

和 を以て 貴 し と なす 読み方

結論から述べると、「わをもってとうとしとなす」と「わをもってたっとしとなす」はどちらも正解です。どちらの読み方を用いても誤りではありませんが、言葉の歴史と現代における使われ方には明確な背景が存在します。

日本語の歴史的な音韻変化において、古くは「尊い・貴い」を「たっとし(たふとし)」と発音していました。これが中世から近世にかけて母音が融合(ウ音便化)し、「とうとし」へと変化していった経緯があります。つまり、「たっとし」は古語の響きを残した伝統的な読みであり、「とうとし」は時代とともに変化して定着した現代的な読みです。現代の教科書や辞書、公教育の現場では「とうとし」とルビが振られるケースが主流となっています。

また、原文である漢文の「以和為貴」の読み方としては、書き下し文にした「和を以て貴しと為す」以外に、そのまま音読して「いわいき(い・わ・い・き)」と読まれることもあります。知識として両方のバリエーションを押さえておけば、どのような場面でも自信を持って対応できるはずです。

【意味と誤解】「和を以て貴しとなす」の真意|単なる事なかれ主義ではない理由

和 を以て 貴 し と なす 読み方

「和を以て貴しとなす」の一般的な意味は、「人々がお互いに仲良く調和を保ち、争いを起こさないことが何よりも尊い」というものです。しかし、この言葉を「空気を読んで反対意見を引っ込めること」や「同調圧力に従うこと」と受け取るのは根本的な誤りと言えます。

聖徳太子が求めた「和」とは、個々の意見を押し殺して表面上の平穏を保つことではありません。むしろ、人間は誰しも偏りや感情論(党派心)を持ちやすい存在であると認めた上で、「上下の分け隔てなく本音で議論を交わし、納得のいく解決策を見出すプロセス」こそが和の本質です。

波風を立てないための妥協ではなく、対話によって最適な調和を作り出すこと。これが、1400年前の為政者が打ち出したメッセージの核心です。

【続きと全文】「忤ふこと無きを宗とせよ」の読み方と十七条憲法第一条の現代語訳

和 を以て 貴 し と なす 読み方

「和を以て貴しとなす」には、すぐ後ろに続く重要なフレーズがあります。それが「忤ふこと無きを宗とせよ」です。この句の読み方は「さからうことなきをむねとせよ」であり、「理不尽に反発したり、意地を張って対立したりしないことを根本方針としなさい」という意味を持ちます。

理解を深めるために、日本書紀に記された十七条憲法・第一条の全文とその書き下し文、現代語訳を確認してみましょう。

【原文】
一曰、以和爲貴、無忤爲宗。人皆有黨、亦少達者。是以或不順君父、乍疑于隣里。然上和下睦、諧於論事、則事理自通。何事不成。

【書き下し文】
一に曰(いわ)く、和(わ)を以(もっ)て貴(とうと)しと為(な)し、忤(さから)ふこと無(な)きを宗(むね)とせよ。人皆(みな)党(たけき)あり、また達(さと)れる者(もの)少(すく)なし。是(ここ)を以(もっ)てあるいは君父(くんぷ)に順(したが)はず、また隣里(りんり)に違う。然(しか)れども上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論ずるに諧(かな)ふときは、事理(じり)自(おの)づから通ず。何事(なにごと)か成らざらん。

【現代語訳】
第一条:調和を重んじ、互いに感情的に反発し合わないことを根本としなさい。人は誰しも徒党を組みたがり、物事の本質を深く理解している者は少ない。そのため主君や親に従わなかったり、近隣の人々と衝突したりする。しかし、上の者も下の者も穏やかに打ち解け、納得がいくまで議論を重ねることができれば、物事の道理はおのずと明らかになり、成し遂げられないことなど何一つない。

全文を読めば明らかなように、聖徳太子は「事理自づから通ず(議論を尽くせば道理はおのずと通る)」と説いており、対話による合意形成を強く推奨していたことが分かります。

【ルーツを辿る】言葉の由来は『論語』?聖徳太子が十七条憲法に込めた政治的背景

この名句の思想的ルーツは、古代中国の儒教の経典『論語』学而(がくじ)第一にあります。そこには孔子の弟子である有子(ゆうし)の言葉として、以下の一節が記されています。

「礼の用は、和を貴しと為す(礼之用、和為貴)」
これは、「社会規範や秩序(礼)を運用するにあたっては、形式に縛られるのではなく、心の調和(和)を保つことが最も尊い」という教えです。聖徳太子はこの儒教の知恵を巧みに取り入れ、独自の国家統治理念へと昇華させました。

憲法が制定された飛鳥時代初期の日本は、蘇我氏や物部氏をはじめとする有力豪族たちが激しい権力闘争を繰り広げていた動乱の時代でした。一族の利害ばかりを優先して争う豪族たちをまとめ上げ、天皇を中心とする統一国家を築くためには、「私利私欲の争いをやめ、国家のために徹底的に話し合う姿勢」を明文化する必要があったのです。

【実践と語彙力】「和を以て貴しとなす」の使い方・例文・類語・対義語まとめ

歴史的な背景を理解したところで、ビジネスや日常生活で役立つ具体的な使い方や関連語彙を整理しておきましょう。

【実践的な例文】

・「プロジェクトの推進にあたっては、メンバー間の対立を恐れず、和を以て貴しとなすの精神で建設的な意見交換を行いたい」
・「方針の違いから派閥が生まれかけているが、まずは和を以て貴しとなすの教えに立ち返り、全員で率直に話し合う場を設けよう」

【類語・同義表現】

一致団結(いっちだんけつ):多くの人が目的を一つにして固く結束すること。
虚心坦懐(きょしんたんかい):先入観やわだかまりを持たず、素直で平らな心で物事に対処すること。
礼之用和為貴(れいのようはわをとうとしとなす):『論語』における直接の原典表現。

【対義語・対照的な概念】

付和雷同(ふわらいどう):自分の確たる考えを持たず、他人の意見に安易に同調すること。(※盲目的な同調であり、真の「和」とは正反対の姿勢)
同床異夢(どうしょういむ):同じ立場や境遇にありながら、考えや思惑が全く異なること。
権謀術数(けんぼうじゅっすう):人を欺くような巧みな策略を巡らせること。

【聖徳太子の名言】「世間虚仮」など後世に遺された言葉と哲学の深層

聖徳太子が残した言葉は、十七条憲法だけに留まりません。仏教に深く帰依していた太子は、人間の不完全さや人生の真理を見つめた深遠な名言を数多く遺しています。

代表的な言葉が、太子の遺言として伝わる「世間虚仮、唯仏是真(せけんこけ、ゆいぶつぜしん)」です。「この世の出来事や人間の欲望、争いはすべて仮初めの虚しいものに過ぎず、ただ仏の教えのみが真実である」という意味を持ちます。

人間は不完全であり、絶対的な正義を振りかざすことはできない――。この諦観と謙虚さがあったからこそ、太子は「自分だけが正しいと思い込まず、相手の言い分にも耳を傾けて和を重んじよ」という寛容の思想に行き着いたと言えます。

【和を以て貴しとなすの読み方】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:テストや入試で「たっとし」と書いたら減点されますか?
A1:減点される可能性は極めて低いです。古語としての正統な読みであるため、辞書や文部科学省の検定教科書でも「とうとし」「たっとし」の両方が許容されています。ただし、迷った場合は現在の教科書で一般的な「とうとし」を選択するのが無難です。

Q2:十七条憲法は、現在の日本国憲法のように法的拘束力があったのですか?
A2:国民全体を法的に縛る刑法や民法のようなものではなく、主に官僚や貴族(役人たち)が守るべき「公務員の倫理規定・道徳的規範」として制定されたものです。

Q3:ビジネスシーンで「和を以て貴しとなす」を使う際の注意点はありますか?
A3:「事なかれ主義で済ませよう」というネガティブな文脈で使うのは誤用です。「異なる意見を尊重し合い、対話によってより良い結論を導き出そう」という前向きなチームビルディングの文脈で用いるのが適切です。

まとめ:対話と調和を重んじた1400年前の英知を今こそ活かす

「和を以て貴しとなす」の読み方は「とうとし」「たっとし」のどちらも正解であり、言葉の本質は「安易な妥協」ではなく「建設的な対話」にあります。

多様な価値観が交錯し、時にはSNSや組織内で分断が生じやすい今の時代だからこそ、相手の立場を認めつつ徹底的に議論を重ねる太子の哲学は、色褪せない輝きを放っています。歴史の背景とともに正しい意味を心に留め、日々のコミュニケーションや意思決定の指針として役立ててみてください。 (出典: 和 を以て 貴 し と なす 読み方(Yahoo!ニュース)