なぜ防災にいらすとや?地震イラストの圧倒的人気と規約の盲点
自治体が発行する防災ハザードマップや駅構内の避難誘導看板、企業のオフィスに掲示されたマニュアルまで、日常のあらゆる防災シーンで目にするのが、フリー素材サイト「いらすとや」のビジュアルです。特に地震や津波への備えを呼びかける啓発資料において、その普及率は他を圧倒しています。
親しみやすく誰もが直感的に意味を理解できるデザインは、パニックを防ぎつつ正確な初動対応を伝えるメディアとして不可欠な存在になりました。一方で、誰でも手軽に入手できる便利さの裏で、商用利用における点数制限や改変のルールを見落としたまま使用しているケースも少なくありません。本稿では、防災現場で支持される理由から、著作権規約の要点、効果的な防災ポスターの作成術まで網羅して解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:イラストレーター・みふねたかし氏が描く素材は、緊迫した防災情報を恐怖感なく的確に伝える「視覚的ユニバーサルデザイン」として行政や教育現場で広く定着している。
- 要点2:非営利目的の広報や私用マニュアルは無料・制限なしで使用可能だが、企業の営利目的を含む制作物では「1つの制作物につき20点まで」の明確な商用利用ルールが存在する。
- 要点3:「机の下に隠れる」「家具転倒防止」「非常持ち出し袋」など標準的な動作素材が網羅されており、ルールを遵守すれば高精度な防災ポスターが無償で作成可能。
【圧倒的支持の理由】なぜ自治体や企業は「いらすとや」の地震・防災イラストを選ぶのか

日本全国の自治体や教育機関、民間企業が防災資料を作成する際、まず候補に挙がるのが「いらすとや」の素材群です。運営者であるイラストレーター・みふねたかし氏が生み出した独特の画風は、日本のインフラと呼べるほど社会に浸透しています。
地震や津波などの災害情報を扱う際、リアルすぎる被害写真や過度にリアルな絵は、受け手に強い恐怖心や不安感を与えてしまう懸念があります。特に子どもや高齢者、被災経験を持つ方への配慮が求められる啓発資料では、心理的な抵抗感を減らす工夫が欠かせません。「いらすとや」の絵柄は、丸みを帯びた温かみのある線と落ち着いたトーンで統一されており、危険度や避難行動の手順を冷静に把握させる効果を備えています。
加えて、日本人だけでなく外国人観光客や定住外国人にとっても、文字を読まずに行動が理解できるピクトグラム的な機能性の高さが、選ばれ続ける決定的な背景です。
【保存版】ポスター・資料作りに役立つ「地震・防災の定番フリー素材」一覧

防災啓発の成否は、発災時の具体的な行動が1コマで想起できるかどうかにかかっています。「いらすとや」には、発災直後から避難生活に至るまでのタイムラインに沿った素材が揃っています。
実際のポスターやハンドブック作成において、頻繁に活用される代表的な素材は以下の通りです。
① 初動対応(発災直後の安全確保)
地震発生時に頭部を守る基本姿勢である「地震で机の下に隠れるイラスト」(シェイクアウト姿勢)や、揺れが収まるまで安全な空間で身を守る様子を描いた素材は、オフィスや学校の防災訓練マニュアルで中核を担います。
② 事前対策・備蓄(減災への備え)
各家庭での備蓄を促す「地震の非常持ち出し袋のイラスト」や、タンス・本棚に突っ張り棒を取り付ける「家具転倒防止器具を設置するイラスト」は、自助を促すチラシに欠かせません。ヘルメットやホイッスル、非常食の単品アイコンも豊富に用意されています。
③ 避難・津波・避難所生活
沿岸部で命を守るための「いらすとやの津波避難イラスト」(高台へ走る人々)や、集団生活のルール・プライバシー確保を説明する「地震の避難所イラスト」は、公的機関の配布資料で標準的なビジュアルとして定着しています。
商用利用のボーダーラインは?知っておくべき「いらすとや」利用規約の重要ルール

無料で手軽にダウンロードできる反面、ビジネスや対外的な制作物で活用する際にはいらすとやの利用規約を正確に把握しておく義務があります。
最も重要な基準が「商用利用における20点ルール」です。同サイトの規約では、非営利目的(個人の私的利用、学校内の授業、自治体の非営利広報など)であれば点数の制限なく無料で使用できます。しかし、企業の営利活動、有料販売する冊子、広告収入を得るWebサイト、販売促進用のパンフレットなどで使用する場合、1つの制作物あたり無料で使えるのは「20点まで」と定められています。
もし21点以上のイラストを1つの動画やWebページ、冊子内で使用したい場合は、点数に応じた有償ライセンスの購入手続きが必要です。「防災用だから何点でも無料」と誤解して企業資料を作成し、後からトラブルに発展するケースもあるため、広報担当者は事前の点数カウントを徹底しなければなりません。
伝わる防災ポスターを作成する3つのデザイン鉄則
素材のクオリティが高くても、レイアウトや情報整理が不十分では緊急時に役立ちません。フリー素材を活用して実効性の高い防災ポスターを仕上げるには、明確な設計思想が必要です。
原則1:1枚のポスターに盛り込むメッセージは3点以内に絞る
「揺れたらまず低く・頭を守る」「火の始末は揺れが収まってから」「非常口の確保」など、初動で重要なアクションを3ステップに整理し、それぞれに対応するイラストを配置します。余白を広めに取ることで、遠目からでも行動が即座に理解できます。
原则2:イラストと対比色を用いた危険度の可視化
「いらすとや」のイラスト自体は優しい色合いのため、背景に黄色の注意色や赤色の警告アイコンを組み合わせることで、視線誘導(アイキャッチ)の効果を補強できます。特に避難経路の矢印などは太く明瞭なフォントと連動させます。
原則3:多言語表記とのセット配置
「DROP, COVER, HOLD ON」や「EVACUATION」といった英語・簡体字・韓国語・やさしい日本語をイラストの直下に併記することで、外国人居住者や観光客にも一目で意図が伝わるグローバル基準の防災掲示物が完成します。
緊急時・地震速報時のWeb発信で気をつけたい著作権とマナー
地震発生直後には、SNSやオウンドメディアで注意喚起や速報を発信するケースが増加します。その際、「地震速報のイラスト無料素材」をアイキャッチ画像に設定して情報発信を行うアカウントが多数見られます。
ここで留意すべきは、画像の改変制限です。いらすとやの規約では、素材のイメージを損なうような過度な加工や、公序良俗に反する形での切り貼りは禁止されています。また、公式の緊急地震速報のロゴや警報音と混同させるような過激なアイキャッチを作成することは、デマやパニックの引き金になりかねません。
正確な震度情報やライフラインの稼働状況をテキストで簡潔に伝えつつ、イラストはあくまで「身の安全を確保してください」というメッセージを補強する補助要素として落ち着いて活用する姿勢が求められます。
【イラスト や 地震】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:企業の社内向け防災マニュアルに「いらすとや」を使う場合、商用利用になりますか?
A1:社内研修や従業員の安全確保のみを目的とした「非売品の社内マニュアル」であれば、非営利の範囲内として点数制限なく無料で使用可能です。ただし、そのマニュアルを有料で外部販売したり、社外向けの有償コンサルティング資料として配布したりする場合は商用利用に該当し、20点の制限が適用されます。
Q2:イラストの服の色を変えたり、文字を書き足したりする加工は規約違反ですか?
A2:文字の配置やサイズ変更、トリミング(不要な背景の切り取り)など、元のイラストの印象を大きく変えない範囲の加工は認められています。ただし、キャラクターの表情を著しく歪めたり、別のイラストと不自然に合成して元の意図を損なうような改変は規約で制限されているため注意してください。
Q3:町内会やPTAの防災訓練チラシを印刷して配る際、クレジット表記は必要ですか?
A3:いらすとやの素材は、利用規約の範囲内であればクレジット表記や使用報告なしで利用できます。自治体や町内会のチラシ、掲示板のポスターでもそのまま使用可能です。
Q4:高解像度の印刷用データやベクターデータを入手する方法はありますか?
A4:公式サイトからダウンロードできる透過PNG画像は一般的なポスターやチラシ印刷(A3〜A4程度)に十分耐えうる解像度を持っています。より大型の看板や特殊印刷で高解像度データが必要な場合は、公式サイトの問い合わせ窓口から有償での個別対応を相談する形となります。
まとめ:正しい規約理解と「伝わるイラスト」で備える防災対策
「いらすとや」の地震・防災イラストは、日本の災害対策におけるコミュニケーションを大きく円滑にしてきました。恐怖を与えずに冷静な行動を促すビジュアルは、教育現場からビジネスの現場まで、減災の啓発に欠かせないツールです。
20点ルールをはじめとする商用利用の枠組みを正しく理解し、適切なレイアウトと組み合わせることで、万が一の際に「本当に人の命を救う掲示物」を作り上げることができます。日頃の備えを見直す機会に、わかりやすいビジュアルを取り入れた防災対策を一歩進めてみてはいかがでしょうか。 (出典: イラスト や 地震(Yahoo!ニュース))