バザールでござーるの現在とは?CM誕生秘話と愛され続ける理由
1990年代のテレビ画面を軽快なリズムと独特の語り口で席巻した、NEC(日本電気)の伝説的マスコットキャラクター「バザールでござーる」。愛嬌あふれるサルのキャラクターと、「〜でござーる」という耳に残るフレーズは、子どもから大人まで日本中のお茶の間を虜にしました。
バブル崩壊後の広告界に革命をもたらし、一大ムーブメントを築き上げたこの名キャラクターは、誕生から30年以上が経過した現在どうなっているのでしょうか。稀代のヒットメーカーが手掛けた誕生の背景、国民的俳優が命を吹き込んだ声の秘密、そして令和の今なおファンを惹きつけるレトロカルチャーとしての価値を徹底追跡します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:CMプランナー・佐藤雅彦氏と名優・財津一郎氏のタッグが生んだ90年代広告界の金字塔
- 要点2:PCエンジン用パズルゲームや絵本、特製カレンダーなど多彩なメディアミックスを展開
- 要点3:公式施策の役目を終えた現在も、ノスタルジーと完成度の高さからグッズがプレミア化
【誕生の舞台裏】佐藤雅彦氏の着想と「バザールでござーる」名前の由来

「バザールでござーる」が世に産声を上げたのは、1991年(平成3年)のことでした。当時、パソコン「PC-9800シリーズ」などで国内市場をリードしていたNECは、量販店や販売店で開催する大規模セール「NECのバザール」の認知度を劇的に高めるプロモーション施策を模索していました。
この企画を主導したのが、当時電通に所属し、後に「ポリンキー」「ドンタコス」「ピタゴラスイッチ」「だんご3兄弟」など数々の社会現象を生み出すクリエイティブディレクター・佐藤雅彦氏です。佐藤氏は「市場・安売り」を意味する『バザール』に、丁寧な語尾である『ござる』、そして動物の『サル』を掛け合わせたトリプルミーニングの駄洒落を考案。難解になりがちなIT・精密機器メーカーのイメージを、一気に親しみやすい存在へと塗り替えました。
キャラクターデザインは、無駄を極限まで削ぎ落としたシンプルな線と、どこか哲学的な無表情さが特徴です。アフリカのザイール(現・コンゴ民主共和国)生まれで、祖先は高貴な貴族というユニークなバックストーリーも設定され、単なる企業マスコットを超えた立体的な世界観が構築されました。
【名セリフの魂】声優・財津一郎さんが吹き込んだ唯一無二のユーモア

バザールでござーるを語る上で欠かせないのが、キャラクターの声を担当した名優・財津一郎さんの存在です。コメディアンや俳優として「タケモトピアノ」のCMや「キビシーッ!」「ヒジョーに」などのギャグで絶大な知名度を誇っていた財津さんは、その独特な節回しと温かみのある低音ボイスでキャラクターに魂を吹き込みました。
「バザールでござーる」というシンプルなフレーズも、財津さんの絶妙なタメと抑揚によって、一度聴いたら頭から離れないキラーフレーズへと昇華。サルのドジで愛らしいアニメーションと、財津さんの知的でありながらどこか哀愁漂うナレーションが見事な化学反応を起こし、お茶の間の爆笑を誘いました。
2023年10月に財津さんが逝去された際、SNS上では往年のCM映像とともに「子どもの頃、財津さんの声でバザールでござーるを真似していた」「あの声があったからこそ、NECのパソコンが身近に感じられた」といった追悼の声が数多く寄せられ、その声の演技が世代を超えて記憶に刻まれている事実を物語っています。
【社会現象となった名作CM】NECの販売戦略を変えた歴代シリーズの軌跡

1990年代を通じて放映されたテレビCMシリーズは、コマ撮りのストップモーションアニメーションやリズミカルなセルアニメを駆使し、広告賞を総なめにしました。バザールがバナナを取ろうとして罠にかかったり、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも健気に立ち向かうショートストーリーは、わずか15秒〜30秒の間に映画のような起承転結が凝縮されています。
このCM展開は、NECのマーケティング戦略に劇的な変革をもたらしました。当時、ビジネス用途のイメージが強かった同社のパーソナルコンピュータ(PC-98シリーズやPC98-NXシリーズ)を、一般家庭のリビングへと浸透させる最大の推進力となったのです。
「パソコンを買いに電気街へ行こう」という動機付けとして、店頭に並ぶサルののぼり旗や等身大パネルは絶大なアイキャッチ効果を発揮。企業キャラクターを前面に押し出したブランディングの成功事例として、今なおマーケティング業界の教科書的存在となっています。
【メディアミックス展開】PCエンジン名作ゲームと愛された絵本・カレンダー
キャラクターの爆発的な人気は、テレビCMの枠を軽々と飛び越えていきました。中でも1996年にNECホームエレクトロニクスから発売されたPCエンジン用ソフト『バザールでござーるのゲームでござーる』は、思考型パズルアクションゲームとしてゲームファンから非常に高い評価を受けています。
プレイヤーがバザールに指示を出してバナナを獲得させるパズル性の高いシステムは、洗練された難易度調整とアニメーションの可愛らしさが共存しており、現在でもレトロゲーム愛好家の間で名作と語り継がれる一本です。
さらに、佐藤雅彦氏が手掛けたハードカバーの絵本シリーズ(『バザールでござーるのバナナ裁判』など)は子どもたちの知的好奇心を刺激する良書としてベストセラーを記録。毎年年末にNEC販売店で配布された特製カレンダーは、凝ったギミックと美しいグラフィックから争奪戦が起きるほどの人気アイテムとなりました。
【現在はどうなった?】公式サイトの終了と今なお高騰するプレミアグッズの真相
インターネット黎明期の1990年代後半から、NECは「バザールでござーるオフィシャルホームページ」を運営していました。壁紙のダウンロードや毎月の新作ミニゲーム、オリジナルスクリーンセーバーの配布など、当時としては最先端のWEBプロモーションを展開し、20年以上もの長期にわたり愛され続けました。
しかし、近年の企業のデジタルマーケティング手法の刷新やブランド戦略の統合に伴い、オフィシャルサイトは惜しまれつつもサービスを終了。テレビCMでの新規放映も行われておらず、NECの第一線マスコットキャラクターとしての役割は一区切りを迎えています。
一方で、近年の90年代平成レトロブームを受け、当時配布された販促グッズの価値が再評価されています。フリマアプリやネットオークションでは、陶器製の貯金箱、目覚まし時計、ランチボックス、非売品マグカップ、さらにはPCエンジンのゲームソフト完品などがプレミア価格で取引される現象が起きています。単なる一過性の販促物にとどまらない、優れたプロダクトデザインとしての魅力が再発見されている証左です。
【バザールでござーる】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:バザールでござーるの正体やプロフィール設定はどのようなものですか?
A1:アフリカのザイール(現・コンゴ民主共和国)生まれのサルで、祖先は高貴な身分という設定です。性格はのんびり屋でおっちょこちょいですが、ピンチに陥ってもどこか飄々としたユーモアを忘れない愛すべきキャラクターです。
Q2:CMを制作したクリエイターは誰ですか?
A2:東京藝術大学大学院教授などを歴任したクリエイティブディレクターの佐藤雅彦氏です。電通時代に本キャラクターの企画・CM制作を手掛け、コピーやストーリーテリングの革新的な手法を確立しました。
Q3:当時のグッズやゲームは現在でも手に入りますか?
A3:現在公式の新品販売や店頭配布は行われていませんが、中古市場(メルカリ、ヤフオク、レトロゲーム専門店など)で流通しています。特にPCエンジン版のソフトや限定配布されたノベルティグッズは、状態が良いものほどコレクターズアイテムとして高値で取引されています。
まとめ:平成を彩った不朽のアイコンが残したデジタルマーケティングの原点
「バザールでござーる」は、単なる企業の販促マスコットの枠を超え、平成の日本のポップカルチャーを象徴する偉大なアイコンでした。言葉遊びの妙、無駄のないグラフィック、そして名優・財津一郎さんの声が一体となったその世界観は、30年以上が経過した今も色あせることはありません。
現在、テレビCMや公式サイトとしての積極的な露出は終了しているものの、人々の記憶に刻まれたユーモアと親しみやすさは、現代の広告やキャラクタービジネスの原点として息づいています。レトロカルチャーの再評価が進む中、世代を超えて笑顔を届けてくれた名キャラクターの功績は、これからも語り継がれていくはずです。 (出典: バザール で ご ざーる(Yahoo!ニュース))