歴代モンゴル横綱全5人の功績と現在|なぜ相撲界を圧倒できたのか
大相撲の長い歴史において、平成から令和の土俵を語る上で欠かせない存在が「モンゴル出身力士」です。圧倒的なスピードと気迫で土俵を席巻した朝青龍から、前人未到の記録を打ち立てた白鵬、そして不屈の闘志で奇跡の復活劇を遂げた照ノ富士に至るまで、彼らが築き上げた時代は大相撲の国際化と技術革新を大きく推し進めました。
本記事では、大相撲史に燦然と輝く歴代モンゴル出身横綱全5人の偉業をはじめ、彼らがなぜこれほどまでに圧倒的な強さを誇ったのかという技術的・身体的背景、引退の真相や2026年現在の活動実態まで、メディアの独自取材と相撲界の最新動向を交えて詳細に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:歴代モンゴル出身横綱は朝青龍・白鵬・日馬富士・鶴竜・照ノ富士の全5人であり、平成〜令和の大相撲界を牽引した。
- 要点2:強さの根源は伝統格闘技「ブフ」で培った体幹と足腰の粘り、そして異国で生き抜く強固なハングリー精神にある。
- 要点3:引退後は日本国籍を取得して親方として後進を育てる道や、母国で教育・実業に携わる道など、多方面で活躍を続けている。
【歴代一覧】相撲史に名を刻んだモンゴル出身横綱「全5人」の偉業

大相撲の歴史の中で、最高位である横綱に登り詰めたモンゴル出身力士は歴代で5人存在します。外国出身横綱としてはハワイ出身の曙、武蔵丸に続く系譜ですが、単一の国からこれほど短期間に複数の大横綱が誕生した例は他にありません。
モンゴル出身横綱歴代一覧は以下の通りです。
1. 第68代横綱・朝青龍 明徳(あさしょうりゅう あきのり)
2003年初場所後に横綱昇進。圧倒的な闘争心とスピード相撲で一時代を築き、幕内最高優勝25回を数えました。年間6場所全勝優勝や年間最多勝など、数々の大記録を打ち立てました。
2. 第69代横綱・白鵬 翔(はくほう しょう)
2007年夏場所後に横綱昇進。歴代最多となる幕内優勝45回、通算1187勝、幕内1093勝、横綱在位84場所など、大相撲の主要記録のほぼ全てを塗り替えた「昭和・平成・令和を通じた大横綱」です。
3. 第70代横綱・日馬富士 公平(はるまふじ こうへい)
2012年秋場所後に昇進。軽量ながら強烈な立ち合いの低さと鋭い出足、変幻自在の技術で観客を魅了し、全勝優勝4回を含む幕内優勝9回を記録しました。
4. 第71代横綱・鶴竜 力三郎(かくりゅう りきさぶろう)
2014年春場所後に昇進。卓越した相撲巧者として「教科書通りの綺麗な立ち合いと引き技」を武器に幕内優勝6回を達成。安定感のある守りと冷静な試合運びで土俵を支えました。
5. 第73代横綱・照ノ富士 春雄(てるのふじ はるお)
2021年名古屋場所後に昇進。大関昇進後に両膝の大怪我と内科疾患で序二段まで転落しながら、不屈の執念で大関・横綱へと返り咲いた相撲史上唯一無二の復活劇を成し遂げました。
なぜモンゴル力士は圧倒的に強いのか?相撲界を席巻した3つの理由

日本古来の国技である大相撲において、なぜモンゴル勢がこれほど長期にわたり頂点に君臨できたのか。その要因は、伝統格闘技の技術、過酷な自然環境が生んだ身体能力、そして精神構造の3点に集約されます。
第一の理由は、モンゴル相撲(ブフ)との技術的シナジーです。ブフは土俵のような境界線がなく、手や膝が地面につくまで勝負が続く立ち技格闘技です。投げ技や足を取る技が多彩であり、上半身の胴クラッチと下半身の粘り強いステップが徹底して鍛えられます。日本の相撲は「土俵から出す・押し出す」動作が重視されますが、ブフ経験者は「崩されても足が残る」「土俵際での逆転の上手投げ」において極めて高い身体適応力を発揮します。
第二の理由は、遊牧民族特有の強靭な骨格と体幹バランスです。幼少期からの乗馬や大草原での生活、羊肉や乳製品を中心とした高タンパクな食文化が、ぶつかり合いに負けない強固な関節と筋肉のベースを形成します。
第三の理由は、海を越えて異国へ渡ってきたハングリー精神です。10代半ばで言葉も通じない日本の相撲部屋へ飛び込み、厳しい上下関係や生活習慣の壁を乗り越えて「勝つことでしか家族や自身の未来を切り拓けない」という極限の覚悟を持って土俵に立ち続けました。この精神的な強さが、土俵際での執念や勝負強さに直結しています。
朝青龍・白鵬の光と影|前人未到の記録と引退劇の真相

モンゴル旋風の中心にいた朝青龍と白鵬の二人は、それぞれ強烈な個性とドラマを背負っていました。
白鵬の優勝回数と記録は、大相撲史におけるアンタッチャブルレコードの宝庫です。通算1187勝、幕内最高優勝45回、全勝優勝16回、63連勝という圧倒的数字は、徹底した柔軟性と右四つ左上手の絶対的な型があったからこそ成し得たものです。晩年は怪我に苦しみながらも、肘のサポーターや変化を交えた巧みな相撲で白星を積み上げ、2021年秋場所後に土俵を去りました。
一方、大相撲に旋風を巻き起こした朝青龍は、その破天荒な言動と圧倒的な強さで常にメディアの耳目を集めました。朝青龍の引退理由と真相については、2010年初場所中の一般人への暴行騒動が直接の引き金となり、日本相撲協会の理事会から事実上の引退勧告を受ける形での電撃引退でした。全盛期の強さを維持したままの29歳での引退は、相撲ファンに大きな衝撃と惜別の念を残しました。
日馬富士・鶴竜・照ノ富士のドラマ|不屈の復活劇と親方としての現在
後続の3横綱も、それぞれ異なる波乱に満ちた道を歩みました。
照ノ富士の怪我と復活の経緯は、スポーツ界全体を見渡しても類を見ない奇跡の人間ドラマです。大関昇進後、両膝の前十字靭帯断裂や半月板損傷、さらには糖尿病やC型肝炎などを併発し、大関から序二段48枚目まで転落しました。一時は引退を決意したものの、師匠の励ましを受けて再起。土俵に立てる身体を一から作り直し、幕内復帰から2021年の横綱昇進、そして2桁の幕内優勝を果たすまでの軌跡は、多くの人々に勇気を与えました。
日馬富士の現在と実業家活動は、土俵の外で目覚ましい広がりを見せています。2017年の引退後、母国モンゴルに私立の小中高一貫校「新モンゴル日馬富士学園」を設立し、理事長として日本式教育と人間育成に注力。さらにウランバートルを中心に環境関連事業や医療支援など多角的な実業家として活躍しています。
鶴竜の年寄名跡と親方実績にも注目が集まります。引退後は鶴竜親方として後進の指導にあたり、2023年には年寄「音羽山」を襲名して独立。音羽山部屋の師匠として、持ち前の論理的な相撲指導と誠実な人柄で有望な力士の育成に力を注いでいます。
日本国籍帰化と年寄株の壁|大相撲におけるモンゴル勢の歴史と葛藤
大相撲モンゴル勢の歴史は、1992年に大島部屋へ入門した旭天鵬(現・大島親方)や旭鷲山ら6人の開拓者から始まりました。文化も言葉も異なる環境で道を切り拓いたパイオニアたちの存在が、後の朝青龍や白鵬らの道標となったのです。
しかし、現役引退後に親方として相撲協会に残るためには「日本国籍の取得(帰化)」が必須要件として定められています。モンゴル国は原則として二重国籍を認めていないため、日本国籍を取得することは母国の国籍を放棄することを意味します。
旭天鵬が外国出身力士として初めて帰化して親方となった道を、白鵬(現・宮城野親方)、鶴竜(現・音羽山親方)、照ノ富士らも選択しました。母国への愛着と、人生を捧げた大相撲への恩返しという狭間で葛藤しながらも、彼らは日本相撲界に骨を埋める決意を固め、伝統の継承者としての役割を果たしています。
【2026年最新】次なる横綱候補は誰だ?大相撲を担う注目のモンゴル出身力士
2026年の大相撲界においても、モンゴル出身力士の存在感は依然として強固です。横綱・大関陣の世代交代が進む土俵で、次代の綱取りを狙う精鋭たちが熱い火花を散らしています。
筆頭に挙げられるのが、朝青龍の甥である豊昇龍(ほうしょうりゅう)です。叔父譲りの鋭い眼光と抜群の運動神経を持ち、多彩な投げ技とスピード感溢れる相撲で大関として土俵を牽引。綱獲りに最も近い実力者として期待を集めています。
さらに、高い身体能力と正確な技術を誇る霧島(きりしま)や、着実に地力をつけて上位に定着した欧勝馬(おうしょうま)など、個性豊かな実力派が揃っています。近年台頭著しい日本出身の若手ホープたちとモンゴル勢によるハイレベルな覇権争いが、2026年の土俵をかつてない熱気で包んでいます。
【モンゴル 横綱】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:モンゴル出身の横綱は歴代で何人いますか?
A1:大相撲の歴史上、モンゴル出身の横綱は朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士の計5人です。第68代から第73代までの横綱のうち、稀勢の里(第72代)を除く5人がモンゴル出身力士となっています。
Q2:白鵬や鶴竜はなぜ日本国籍を取得(帰化)したのですか?
A2:日本相撲協会の規定により、引退後に「年寄(親方)」として協会に残り、弟子を指導したり部屋を運営したりするためには日本国籍を有していることが必須条件であるためです。相撲道への恩返しと後進育成のため、重大な決断として帰化を行いました。
Q3:元横綱・日馬富士は引退後、現在どのような活動をしていますか?
A3:日馬富士は現在、母国モンゴルで設立した日本式小中高一貫教育校「新モンゴル日馬富士学園」の理事長を務めています。教育事業に情熱を注ぐ傍ら、実業家として医療や環境分野のプロジェクトなど幅広い社会貢献活動を行っています。
まとめ:大相撲の歴史を塗り替えたモンゴル勢の軌跡と未来
モンゴル出身横綱たちが土俵に残した足跡は、単なる勝敗や数字の記録にとどまりません。伝統格闘技ブフで培った技術の導入は相撲の技術体系を深め、過酷な稽古と不屈の精神は多くの相撲ファンに深い感銘を与えました。
引退後も親方として日本の伝統文化を継承する者、海を越えて教育や社会貢献に邁進する者など、彼らの情熱は形を変えて未来へと受け継がれています。2026年現在も豊昇龍をはじめとする次世代の力士たちが熱戦を繰り広げており、大相撲の歴史を紡ぐモンゴル勢の挑戦はこれからも続いていきます。 (出典: モンゴル 横綱(Yahoo!ニュース))